病気と治療について理解しよう
クローン病
クローン病にはどんなタイプがあるの?
病変別の重症度分類について解説!
【監修】北里大学医学部 消化器内科学 横山薫 先生
1.クローン病の病変の拡がりによる4分類
病型分類には、小腸型(小腸のみに病変がある)、大腸型(大腸にのみ病変がある)、小腸大腸型(小腸と大腸に病変がある)、上部病変(空腸のみに病変がある)の4つがあります。(図1:病変の範囲による分類)。
●病変
-
小腸型
病変が小腸のみに
認められる型 -
大腸型
病変が大腸のみに
認められる型 -
小腸大腸型
病変が小腸と大腸
両方に認められる型 -
上部病変
病変が空腸のみに
認められる型
2.クローン病の活動期における重症度分類
活動期の臨床的重症度は、さまざまな臨床項目に関するデータを集計して軽症・中等症・重症と判定するCDAIスコアや、寛解期か活動期かだけを判定する、より簡単なIOIBDスコアがあります。
CDAIスコア
CDAI (Crohn’s Disease Activity Index)は過去1週間の腹痛や下痢などの症状や、合併症の数などを点数化します。CDAIはスコアを求めるのに1週間連続のデータが必要であり、計算式が複雑なため、おもに臨床研究でよく使用されます。
CDAI※ | 合併症 | 炎症(CRP値) | 治療反応 | |
---|---|---|---|---|
軽症 | 150〜220 | なし | わずかな上昇 | |
中等症 | 220〜450 | 明らかな腸閉塞などなし | 明らかな上昇 | 軽症治療に反応しない |
重症 | 450< | 腸閉塞、膿瘍など | 高度上昇 | 治療反応不良 |
※CDAI:Crohn’s disease activity index
潰瘍性大腸炎・クローン病 診断基準・治療 指針(厚生労働省「難治性炎症性腸管障害に関する調査研究」鈴木班)
IOIBD(International Organization for the study of Inflammatory Bowel Disease)はクローン病の活動性を判断するスコアです。10項目のそれぞれに当てはまれば1点、当てはまなければ0点とします。2点以上であれば活動性つまり医療助成の対象となり、1点以下であれば寛解と判断できます。IOIBDは簡単なため日常診療で使用するのに便利です。
1 | 腹痛 |
2 | 1日6回以上の下痢または粘血便 |
3 | 肛門部病変 |
4 | 瘻孔(炎症で腸管に穴が空き、近くの臓器とつながってしまった状態) |
5 | その他の合併症 |
6 | 腹部腫瘤(腹部を触ったとき、こぶのようなものがある) |
7 | 体重減少 |
8 | 38℃以上の発熱 |
9 | 腹部圧痛(腹部を押したときに痛みがでる) |
10 | 10g/dL以下のヘモグロビン(貧血) |
1項目1点とし、2点以上で医療助成の対象となります。
IOIBD:The International Organisation for the study of Inflammatory Bowel Disease
3.クローン病の分類の活用法
クローン病には、症状の悪い時期(活動期)とよい時期(寛解期)のくり返しがあり、重症度分類スコア(CDAI、IOIBD)を活用しながら、そのときの症状の勢いや再燃の有無を判断し、早め早めの対応をすることが合併症発症の抑制につながります。